友人たちの変化
血液検査で異常が発覚しても僕は酒を飲み続けた。
血液検査を受けた病院には二度と行かなかった。
「飲みに行こうぜ」
これが友人たちとの間で交わす『遊ぼうぜ』の合図だった。
もちろん普通に買い物にも行くし、テーマパーク的なところにも行く。
でも、遊ぶ時は友人たちも昼からチョイ飲み
もっと言えば朝から集合してファミレスで酒を飲んでお腹を満たし
夕方くらいには本格的に飲み始めてベロンベロンになって解散するので
結果というか総合的に「飲みに行こうぜ」が集まる合言葉になっていたのだ。
そんな友人たちなのだが、各々仕事の都合でなかなか会えない日が続いた。
全員で集まる機会が無いまま数ヶ月が経った。
そんな時、いつも集まるメンバーじゃない友人の一人と会う機会があった。
そいつと会うのは7~8か月ぶりくらいだったと思う。
「すげー腹出たな!」
友人の最初の言葉だった。
お腹が出ているのは今に始まったことじゃない。
「腹は前から出てるだろ。いつからデブやってると思ってんだよ。10年以上だぞ」
と返すと
「いや、そうじゃなくて・・・何かこう・・・出てるな~って」
訳が分からず大笑いしてしまった。
友人は不思議そうに僕を見ていた。
「飲み過ぎなんだよ。何か変じゃね?腹出たのに腕とか細くなってんじゃん」
「そうかなぁ」
「休肝日作れよ。週に3日くらい」
「はいはい(白目)」
その友人は怒ると怖いので空返事だけしといた。
そして今から3ヶ月前。
いつも集まるメンバーで飲む機会があった。
久々に会うので皆いつもよりテンションが上がっていた。
くだらない話をしながら騒いで盛り上がっているとき
ふいに友人の一人が真顔になって僕にこう言った。
「どうした・・・その腹。体に不調はないか?」
いつもヘラヘラ笑ってる友人が真顔で言うもんだから場がシーンとなった。
「そういえば少し息苦しいのと、足がむくむようになったな。むくみ過ぎてちょっと痛いときもある。」
「お前、すぐ病院に行け」
「なんだよ。どうしたんだ急に」
「いいから!病院行けよ。約束だ!」
「う、うん分かったよ」
後から聞いた話だが、その友人には僕の症状に心当たりがあった。
それを友人たちに話したんだろう。
それからというもの、あの日あの場にいた友人たちから
「病院行ったか?」
「早く行け」
「一緒に行くか?いやでも連れて行くぞ」
「今すぐ酒をやめろ!いいな?」
とラインでの連絡や電話が頻繁にくるようになった。
友人たちは僕の症状から、ある病気の可能性を危惧していた。