僕の命はあとどのくらい?
友人たちの心配と後押しもあり
いつも抗不安薬を出してもらっている病院に行ったときに
内科の先生に今の自分の症状を言った。
すると先生の顔が変わった。
あのときの先生の微妙な表情の変化は今でも忘れない。
「ちょっと見せて。・・・そこに横になって膝を立てて」
先生は無言でお腹を押したりと触診をし、聴診器を当てたりしていた。
そして元のイスに戻されると詳しく問診された。
「今からすぐに血液検査とエコー。そして尿検査をしてもらうから」
と言われ、指示された看護師さんの動きが速くなった。
エコーは初めての経験だった。
エコーと尿検査の結果はすぐに出た。
「肝硬変だね。これからお酒は一滴も飲まないように。血液検査の結果は来週に出るから、結果を見て専門の病院に紹介状を書くからね」
しばらく『肝硬変』という思いもしなかった病名を受け入れられず黙っていた。
先生は何やら喋っていたが覚えていない。
気が付いたら「僕、死ぬんですか」と先生に聞いていた。
「・・・肝硬変っていうのはリバーシブルだから。いい?お酒は絶対に飲んじゃ駄目だよ!」
答えになっていない。
ボーっとしていると、やがて看護師さんに付き添われ待合室に戻された。
看護師さんが言うには、五日後に血液検査の結果が出るので来てくださいとのことだった。
帰り道は『自分の命はあとどれくらい残っているんだろう』ということばかりを考えていた。